平成28年度に実施した活動

【日本点字技能師協会平成28年度(第14回)総会と研修会】

<日時> 平成28年5月28日(土)・29日(日)
<場所> 新潟市総合福祉会館 5階 大集会室(新潟市中央区)
<スケジュール>
28日
13:00 受付開始
13:15〜13:30 開会・オリエンテーション・自己紹介
13:30〜15:30 総会
15:30〜15:45 休憩
15:45〜17:00 情報交換会
17:30〜20:00 懇親会
29日
9:15   受付開始
9:30〜10:00 開会・オリエンテーション・自己紹介
10:00〜12:00 講演会(新潟市議会議員 青木 学氏)
12:00〜13:00 昼食休憩
13:00〜15:00 チャレンジド・ヨガ〜視覚障害者のためのヨガ(高平 千世氏)
15:00〜15:30 閉会式

◆総会
議長:石川 龍海さん(千葉県)
議事録署名人:中山理事・曽根理事
資格審査員:江ア理事

<資格審査>
正会員総数204名
出席者166名(当日出席14名、委任状・書面議決書による出席152名)
定足数「正会員総数の2分の1以上」に達しているので総会は成立。

<第1号議案>平成27年度事業報告と収支決算報告
今年度、収入より支出が上回ってしまった理由の説明
@ヤマトメール便が廃止になり郵便で送ることになったため機関誌などの送料が大幅に増加。
A「対策本」の売り上げの減少。今後は宣伝していきたい。
B北海道での研修会開催で交通費が増加。全国各地で開催したいのでこれは致し方がないと考える。

<監査報告>
監事のお二人が欠席されたので監査報告を理事長が代読し、「適正に処理されているものと認めた」という報告がされた。
第1号議案は賛成多数で承認された。

<第2号議案>平成28年度事業計画および収支予算
今年度力を入れたいのは「関連団体との協力・交渉」で、特に盲学校との連携を深めたい。
点字技能師の資格に付加価値を持たせるような交渉もしていきたい、との説明があった。
第2号議案は賛成多数で承認された。

<第3号議案>役員選任議案
留任6名、新任2名、計8名の役員候補が紹介され賛成多数で承認された。
その後理事会が開かれ、次のような発表があった。
理事長 森 幸久、副理事長 上野 多美子、事務局長 中山 敬、会計 松川 なをみ、「日点協通信」担当 曽根 純子、対策本担当 松田 次生、名簿管理担当 緒方 嘉也、ホームページ担当 兵藤 美奈子

◆情報交換会
新潟の方言など土地柄についての話題から入って、新潟でのボランティア活動や青木議員と一緒の活動についてなど報告してもらった。

◆懇親会
近くの居酒屋で懇親会。参加者14人、新潟の食べ物やお酒をいただきながら楽しく情報交換。

◆講演会「視覚障害者議員としての取り組み 社会の変化に手ごたえを感じながら」青木 学氏(新潟市議会議員)
青木氏の小さい頃からの話から始まり、大学を卒業してアメリカ留学をし、そして市議会議員になるまでの経過を話してくださった。議員になってからの活動の報告もあった。最後に会場からの質問を受け、青木氏の思いを語っていただいた。

◆研修会「チャレンジド・ヨガ 視覚障がい者のためのヨガ」高平 千世氏
全員ヨガマットをお借りして先生の掛け声に従って体を動かした。ヨガの目的、視覚障がい者のためのヨガの特徴などを学び、視覚障害者に身体の動きを言葉で伝える実習もした。簡単そうでもやってみるとかなりハードな運動で、みな気持ちの良い汗をかいた。

【平成28年度年賀寄附金配分事業「点字技能師研修会」】

<日時> 平成28年8月6日(土) 13時〜16時
           7日(日) 9時45分〜15時45分
<会場> 神戸女子大教育センター 123教室(兵庫県神戸市中央区)  
<参加費> 1講座1,000円、2講座1,500円、3講座2,000円(非会員は倍額)
<スケジュール>
6日(土)
12:30  受付開始
13:00〜13:30 開会式・オリエンテーション
13:30〜16:00 研修会1「採用試験問題の点訳における配慮」講師:河瀬 修一氏(滋賀県立盲学校英語科非常勤講師)
7日(日)
9:30    受付
9:45〜10:00  オリエンテーション
10:00〜12:00 研修会2「シンポジウム 点字技能師と盲学校との連携の可能性を探る」進行:森 幸久日点協理事長 パネラー:盲学校の教員3名
12:00〜13:00 昼食休憩
13:00〜15:30 研修会3「統一英語点字(UEB)導入に伴う学習者への影響と対応 盲学校現場から」講師:馬場 洋子氏(神戸市立盲学校英語教諭)
15:30〜15:45 閉会式

◆参加者
参加者23名(うち点字使用者6名)

◆研修会1「採用試験問題の点訳における配慮」講師:河瀬 修一氏(滋賀県立盲学校英語科非常勤講師)
公務員試験に出てくる図の点訳例を見ながら、どのように点訳されるのがよいか、についての研修
点図に対する思い、触覚・触察、地図、自動点訳についてなど、点字使用者の立場から日頃から感じている思いが述べられた
絵を触ることは夢を育てること
実際の問題の点訳例を見ながら、何が大事で何を省いてもいいのか、という解説
目で見てわかりやすい書き方と、触ってわかりやすい書き方と
墨字では図が書いてあっても、点図にする必要はない場面もあること
立体を点図にするときは見取り図ではなく、平面図・立面図・断面図などに分けて作図すること

◆研修会2「シンポジウム 点字技能師と盲学校との連携の可能性を探る」
進行:森 幸久日点協理事長 
パネラー:首藤 浩氏(元大阪府立大阪南視覚支援学校)、大西 秀輝氏(兵庫県立視覚特別支援学校)、舘林 良恵氏(佐賀県立盲学校)
各学校の紹介
点字指導・生徒の現状
教員の点字習得状況、教員への点字指導
資料提供について
点字技能師と盲学校との連携

◆研修会3「統一英語点字(UEB)導入に伴う学習者への影響と対応 盲学校現場から」講師:馬場 洋子氏(神戸市立盲学校英語教諭)
学校での現状
そもそもUEBとは
事前課題の点訳について解説(英語の長文読解や文法等についての問題)
UEBになってどこが変わってどこが変わらないか
質疑応答

【平成28年度年賀寄附金配分事業「点字技能チャレンジ講習会」募集要項】

<目的> 正しい点字表記の普及と点字技能の向上を図り、視覚障害者全般についての理解を深め、ひいては厚生労働大臣認定社内検定試験(点字技能師)合格を目指す点字関係者の受験準備に資することを目的とします。
<主催> 特定非営利活動法人 日本点字技能師協会
<日時> 平成28年8月6日(土) 13時〜17時45分
      7日(日) 9時15分〜16時45分
<参加費> 4,000円(資料代、模擬試験代を含みます)
<会場> 神戸女子大教育センター 224教室(兵庫県神戸市中央区)
<使用テキスト>
『点字検定試験の対策 過去問題(第16回)の正答と解説』 日本点字技能師協会発行。
<参考テキスト>
『日本点字表記法 2001年版』(日本点字委員会発行)
<持ち物>
筆記用具・点字器(模擬試験で使用します。点字タイプライターを使用する人は必ず事前にお申し出ください。)
点字使用の方への模擬試験問題原文の提供は、録音テープと一般CDの2種類を用意します。申し込み時にどちらかを選び、当日はテープレコーダーまたはCDを聞くことができる機器、イヤホン、電池等をご自身で準備してください。また一般電源の使用を希望する場合は申込時にお伝えください。
<講師紹介> 
検定試験解説・模擬試験担当:上野 多美子氏(兵庫県立視覚特別支援学校非常勤講師・日点協副理事長)
障害者福祉・視覚障害者福祉等担当:藤野 高明氏(元大阪市立盲学校社会科教諭)
国語担当:中山 敬氏(日盲連職員・日点協理事)
<スケジュール>
6日(土) 
12:30      受付開始
13:00〜13:30 開会式・オリエンテーション
13:30〜15:15 講義1「検定試験解説」講師:上野 多美子氏
15:15〜15:30 休憩
15:30〜17:30 講義2「障害者福祉ほか」講師:藤野 高明氏
17:30〜17:45 アンケート等
7日(日)
9:15〜 9:30  オリエンテーション
9:30〜12:00  模擬試験
12:00〜13:00 昼食休憩
13:00〜15:00 講義3「国語の文法的理解と読解力に関すること」講師:中山 敬氏
15:00〜15:15 休憩
15:15〜16:30 講義4「模擬試験の答え合わせ、ほか」講師:上野 多美子氏
16:30〜16:45 アンケート・閉会式

◆参加者
35名(うち点字使用者10名、うち1名は盲ろう者)
地域別:関西からの参加者22名、一番遠くは沖縄からの参加

◆講義1「検定試験解説」講師:上野 多美子氏
試験の概要の説明
去年の検定試験を振り返って、どんな問題が出たか、またどんな分野からでたか、などを紹介
実技試験の時に特に注意すべきポイントの説明(仮名遣い・文字、分かち書き、品詞、記号類など)

◆講義2「障害者福祉ほか」講師:藤野 高明氏
講師自己紹介
視覚障害者置かれている立場につい日本の近代史から概観する
盲学校の変遷
ルイ・ブライユについて
覚えておきたい重要人物
基本的人権、国際障害者年のテーマ「完全参加と平等」、無差別の平等、など基本的な考え方について

◆講義3「国語の文法的理解と読解力に関すること」講師:中山 敬氏
品詞を意識する
現代仮名遣いについて
ことわざ・慣用句
古文
敬語
日頃から言葉に興味を持ち、文化庁やNHKのホームページで言葉に関する調査結果などを見よう

◆模擬試験と答え合わせ
実技試験(点字化問題・校正問題)を本番と同じ2時間30分で実施
点字器使用14名、点字タイプライター使用18名
答え合わせをしながら、注意すべき点についての解説
簡単ミスを発見するには
毎日やりたい10分練習(メ書き・なま点字読み・50音書き)
時々やりたい過去問でのひとり模擬試験

【冬の学習会】

<研修テーマ> 
●研修1「『手と目で見る教材ライブラリー』を楽しむ」
ライブラリーの紹介:ありとあらゆるジャンルの展示品があり、歴史的建造物に、馬車や車のレプリカ、ダヴィンチのモナリザやフェルメールの牛乳を注ぐ女の立体絵画など。野球好きの方には各地の野球場の模型もある。子どもには大ウケという、ふだんは決して触らない生きものにもじっくり触れることができる。
大内進氏略歴:東京都立七生養護学校教諭、筑波大学附属盲学校教諭を経て、1999年から国立特殊教育総合研究所(現国立特別支援教育総合研究所)に勤務。視覚障害教育研究部盲教育研究室長、企画部上席総括研究員、教育支援部長などを歴任。2015年より日本盲人会連合点字図書館長・録音製作所所長。2014年より「手と目でみる教材ライブラリー」を運営。
当日:日盲連から歩いて10分くらいのところにあるライブラリーまでみんなで移動。
まずは全員で大内氏の説明を聞いたあと、それぞれ思い思いにたくさん並べられたコレクションに触って鑑賞した。
大きな建物や乗り物がそのまま小さくなったものに触って実物のイメージを思い描いたり、絵を立体的に表現したもので絵の構図を知ったり、いろいろな経験をすることができた。
時間が1時間ほどしかなかったので、たくさんある展示物全部をゆっくり見ることができず、また訪れたいと思った人も多いようだ。

●研修2「あなたのおすすめスポットを点字で案内するとしたら?」
目的:「例えば週末に出かけるレストラン、美術館、デパートの売り場、泊まってよかった旅館やホテルなどなどで、ここに点字案内があったらいいのになと思った場所はありませんか。また、一般的に出されているパンフレットには図があったり、複雑なレイアウトだったりしますが、それをどのように点訳すれば点字使用者にわかりやすいでしょうか。視覚障害者に施設を案内するための、わかりやすく役に立つ点字案内について考えます。」(「通信」164号掲載の研修会募集要項から)
当日:3件の案内モデル発表があった。
羽田空港第2ターミナル 中山敬(東京)
マリンピア神戸 豊田悦子(兵庫)・上野多美子(兵庫)
アメディアフェア 曽根純子(東京)
それぞれが考えた案内モデルのうち点字で10ページくらいを事前に参加者に配布し、参加者はそれを読んで考えを持った上で当日研修に臨んだ。
発表者はどんなことに留意しながら案内を作ったかを述べ、それに対して会場からの意見を聞いた。
点字使用者からの意見も多く出て、どのような点に注意をする必要があるかなどが話し合われた。
墨字では書かれていなくても図などからわかる情報も言葉にして点字にしてほしい、また、墨字に書かれている通りに点訳するだけではなく意味が分かるように補足しながら点字にしてほしい、全体像を知るにはどうしても全体の図はほしい、現場に行って教えてもらえる手段(説明員の配置など)があるならそのことも知らせてほしい、道順の説明の時は何メートルという表現よりも足触りやにおいなど具体的な目印を入れてほしい、などなど。
今後の実際の点字案内作成の時に役立てたい。

<参加者>
25名(うち点字使用者13名)

<『日点協通信』での報告>
研修1の報告:『日点協通信』第169号(平成29年4月発行)に掲載
研修2の報告:『日点協通信』第168号(平成29年3月発行)に掲載

【『日点協通信』誌上学習会】

講師:竹岡立子氏(点訳ボランティア「ぼちぼち会」)

『日点協通信』第166号(平成29年1月10日発行) 「エーデルを書いてみませんか?」
『日点協通信』第170号(平成29年5月10日発行) 「エーデルをで書いてみませんか?」に対する質問に答えて
図を書くソフト「エーデル」を初心者向けに解説していただいた。
点訳している原本に図が出てきた場合、今までは「図は省略します」で終わらせていたこともあったが、これからの点訳作業では図に対応することが求められている。「図は書けません」とは言えない状況になっているので「エーデル」の基本的なことを教えていただくことを目的として誌上学習会で取り上げた。
まずは矢印を書くことから始め、基本操作の紹介を取り入れながらわかりやすく説明していただいた。
次に少し進んで、下絵をデータにして取り込んで、その絵をなぞって図を書く方法を解説。基本的なことが一通り説明され、初めての人も「エーデル」のイメージがつかめたと思う。
その後、1月号の解説を読んだ会員からいくつかの質問が寄せられ、次年度5月号(第170号)で続編として回答をしていただいた。
2回の誌上学習会で、今までやったことのない人も「エーデル」のスタートラインに立つことができたのではないかと思う。

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